前回の花巻東について書いた記事が、参加している日本ブログ村の高校野球のジャンルで注目記事ランキング第3位になりました。どういうシステムでランク付けしているのか分かりませんが、見て下さっている皆様のおかげであることには違いありません。ありがとうございますm(_ _)m それでは今日も子園記事。今回こそ、最後です。
・ 東北の優勝の行方は問題
正直、今夏こそは出ると思っていた。東北勢初優勝校。初戦を6校中5校突破するという勢いと、下馬評の強豪校が次々と消えていく事態に。結局ベスト4に2校が残ったまでだったが、ある意味昨夏までの光星3季連続準優勝よりも、東北勢が優勝に近付いた大会だったのではないかとすら思う(光星の場合は、日大三や大阪桐蔭という大本命がしっかり残っていたので)。しかし決勝目前で花巻東は変なアヤが付き対策してきた延岡に点差以上の完敗を喫し、日大山形もまだ余力のある高橋の前に散った(準決勝で両者がバラけて、決勝で当たっていたら山形にかなり分があったように思う)。花巻東は仮に今年優勝しても色々言われただろうからともかくとして、日大山形はもったいなかった。山形県勢では近年稀に見る好チームだったのではと思う。もっとも90年以上もじらしたのだから、どうせなら東北勢初優勝は、松坂とか藤浪のような怪物を擁したチームにドラマチックに決めて欲しいという思いがあったので、ちょっと安心したかもしれない。
東北勢初優勝はもう時間の問題だと思う。その一番手は、今年は出られなかったが八戸学院光星か、前回散々色々言った花巻東かというところか。以下各県ごとに私見を述べると、
【青森】 ここずっと県外出身者を集めた光星か青森山田かという感じだった青森県において、漁夫の利的な勝ちあがりでなく両校をしっかり破って出てきた聖愛の存在は非常に面白い。ここが一発屋で終わらず(去年も負けたとはいえ決勝で光星に惜敗しているので大丈夫だと思うが)県内の第三勢力になれれば、青森県勢はがぜん面白くなる。聖愛には是非とも、花巻東のような(ダーティ分は除く)チームを目指して欲しい。そうすれば、光星(と山田)にとっても良い刺激になると思う。
【岩手】 花巻東の良さは、毎年派手さはなくとも隙のないチームを作り上げてくる点。何か突出したものを持っているチームは一見優勝しそうに感じるが、1つボタンをかけ違えるとなかなか修正できないもろさがある(今年の大阪桐蔭や日大三などが良い例だ)。その点花巻東のようなチームは、突破力こそ感じられないものの好不調の波も少なく、それが近年の安定した実績につながっていると思う。そして土台がしっかりしているので、菊池のような核ができれば一気に頂上を狙えるチームになる(大谷の時はアレだったが……)。
それだけに今回のことは残念。もちろんああいったことは多かれ少なかれいろんなチームがやっているのではと思うけれど、あのように全国区に知らされてしまったのは……。青森2強が県外出身者の多さからどうしても……となってしまうなか、ここは世間も味方にできるチームだったのに。今後優勝するためには、まずはイメージのクリーン化が先決かも。
また、県内に全国区の強豪校のライバルがいる光星と違って、花巻の場合ライバルこそ盛岡大附、一関学院、専大北上と頭数はいるのだが、どこも甲子園での成績は悲惨なものである。これらのチームが奮起してこそ、花巻東ももっと力強いチームになるのでは。
【宮城】 毎回出るたびに高い評価を得ながら、どうにも上にいけない仙台育英。全国的な活躍は青森の2強や花巻東よりずっと先のはずだが、完全に追い抜かれてしまった感じがする。毎回好選手を擁してくると言う点ではそれらに引けを取らないにもかかわらず、ここは何だか知らないが妙な脆さがある。選手よりも監督ら指導者の問題かもしれない。
【福島】 仙台育英と同じことは聖光学院にも言える。しかしここの場合は、県内のライバル不在のせいで土壇場での勝負強さに欠き、それがあと一歩先に進めない要因なのではという気がする(まぁ仙台も最近は東北が不調で何ともというところだが)。県内公式戦92連勝は凄いが、聖光の強さ以上に他の不甲斐なさを感じてしまう。というか最後に負かしたのは逆にどこなのか気になる。駒苫の香田元監督曰く、東北勢の初優勝は花巻東かこことのことだが、優勝というところまでいくと両校には大きな開きがあるように思う(ところで、香田元監督の挙げたのはこの2校+光星だという話もあるが、このコメントの出典がどこだかわからないのでどれが正しいのか確認できない。正確なところを知ってる人がいたら教えてくれると嬉しいです)。
【山形】 今年の日大山形のような好チームが今後もコンスタントに出てきてくれればというところ。まずは1校でも全国で勝てるチームがいて、それに他が追いつこうとすることで県勢としてレベルアップして欲しい(福島みたいになってしまう可能性もあるが……)。
【秋田】 が、頑張って!(でも今年の日大山形の活躍は、秋田県勢にも奮起を促しそう)
・ 桜井問題
ここの教育方針もちょっとだけ話題になった。人様の方針だからどうこう言う筋合いでもないし、選手が納得しているのならそれでいいのだが……(それにサイン盗みとかするチームよりよっぽどマシだし)。
もちろん礼節は大事だが、野球は武道では無い。エラーによる出塁や得点で喜ばないと言うのはまぁ分かるのとしても(もちろんそこでガッツポーズしたりするのも、チームを鼓舞することにもなるし否定はしない)、ホームランを打ったときくらいは喜んでも良い気がするのだが。それが相手を尊重していないことにはならないだろうし……どうにもモヤモヤしてしまう。
・ 安楽問題
今年は2年生に注目選手(投手)が多かった。その中心が優勝投手たる育英の高橋光成であり、あるいは浦学・小島や明徳・岸なども来年また是非戻ってきて欲しい存在だろう。
そんななか、今大会の元祖注目の2年生エースだったはずの安楽だが、早々に敗れてしまった。その要因は直球にこだわり過ぎたせいだろう。もはや150キロ超級の直球でも、それ一本でどうにかなる時代ではないのだ。
ネットではそんな安楽を批判する声も聞こえるが、個人的には安楽のスタイルは今はそれで良いのだとも思う
。直球頼みの投球スタイルからの転換は、自分で納得してからで良いというか、そうでなければ意味がない。そのタイミングは新チームで本格的に動き始めてからかもしれないし、あるいはプロに入って(故障さえなければ指名されるだろう)からかもしれない。別に甲子園で快刀乱麻のピッチングを披露し済美を優勝させることだけが彼の至上命題では無いのだから、本人が納得できるまで直球にこだわって良いし、それだけの価値のある直球だと思う。
ただし投げ過ぎの問題に関しては早急に二番手の養成が必要だ。来年も今年のようなチームカラーならば、上甲監督は無能の烙印から逃れられないだろう。
8/29追記:この記事を見るに、そんな状態であれだけの球を投げていたという衝撃の一方で、なおのこと安楽以外の投手の養成が上甲監督の命題であることを再確認。また、投球スタイルは自分の納得したタイミングで代えれば良いとは書いたものの、真面目というか馬鹿正直すぎる気がするので力を抜くことを覚えた方がいいのでは、とは思う。18Uでチームメイトとなる高橋光成の、三振を取る投球と打たせて取る投球を調子や状況に応じて使い分けるピッチングからヒントを得て欲しいものだが……。いずれにせよ、こんな才能の持ち主を甲子園のために潰すことは許されないと、上甲監督は肝に銘じるべきだ。
・ 球数&連投制限問題
安楽つながりで。連投や球数規制に関する私の見解は、センバツ終了時に述べたのでそちらを参照して欲しいのだが、要約すれば消極的賛成派というか、高野連が「ピッチャーを守るために制限を設けます」と言ったら、それは全くの正論で所詮外から観賞するだけの立場からすれば何も反論できないという感じである。
球数制限賛成派に対する、誰もがプロを目指しているわけではないというような、一部の才能に恵まれた層にそうでない人々を付き合わせるなという主旨の反論は一見正しいように見える。しかしそうした意見は、大多数の凡人の存在に目を向けているようでいて、その実大学や社会人野球(あるいは草野球でも良いが)止まりの才能なら野球を続けても意味がないということにもなり、結局プロレベルの才能ではない層を切り捨てているのではないかと思うのだ。たとえレベルは違っても、そこで野球することには間違いなく意味があるはずだ。
ということで、球数制限論に対して自分は有効な反論ができない。しかし、そうは言っても……という気持ちはもちろんある。先日散髪中にたまたま読んでいたNumberに桑田さんのコメントが載っていて、「ゆくゆくはWBCくらいの制限が設けられるべき」というようなことを言っていたのだけれど、そこまで言われると正直何だかなぁというところなのだ。
球数制限問題の話になるといつも思い出すのが、、「野球は1人ではできないが、その1人の前に敗れるのもまた野球なのだ」(うろ覚えだけどだいたいあってる筈)という言葉だ(たしか水島新司の「大甲子園」の文庫版に載っていた言葉だと思うのだけれど、手元にないので分からない)。
これは、野球の魅力の一端を表した言葉だと思う。
野球はルール上、他のプレーヤーに比べて明らかにピッチャーの負担が大きいスポーツである。もしかしたら近代野球の成立の過程で、例えば「1試合につきピッチャーは100球まで」というような、その負担を軽減するようなルールが整備される可能性もあったかもしれない。そうしたら、もはや今の野球とは全く違ったスポーツになっていたはずだ。それこそ花巻東の千葉君のような技術がバッターには最も求められるものになり、いかにエース級のピッチャーを早めに降板させるかが試合の重要なポイントなっただろう。また、それではどちらが早く相手の投手を全員登板不可にするかを競うスポーツになってしまうからと、2ストライクからのファールもストライク判定になったかもしれないし、試合のイニングも5回くらいまでになったかもしれない。
しかし、実際はそうはならなかった。その結果生じているピッチャーへの過剰な負担が前提という形態は、スポーツとしては大きな欠陥なのかもしれないが、それが野球の本質でもあるのではないか。若い才能を守るため、球数制限を設けるべきという主張はもちろん正論なのだが、一方で野球がその前提としてピッチャーへの多大な負担を強いるスポーツである、という側面を無視してはいけないようにも思うのだ。WBCが始まる前、球数制限の導入に日本は「野球というスポーツの本質にそぐわない」と反対したというが、これは正しいと思う。
桑田さんは制限を設ければ指導者が控え投手を育てる必要に迫られ、結果的に野球全体のレベルも向上するみたいなことも言っていた。それも正論ではあるけれど、結局はPLという超強豪校出身者だから言えることなんじゃないかとも思ってしまう。「お前と心中する、なんて言う指導者はいますが、実際に責任を取ってくれるような指導者なんていません」ってまぁそれはそうなんだろうが……。
まぁとりあえず現状は日程緩和しかないのかな、とは思う。今大会高野連は珍しく決断した方だと思うが、まだまだ足りない。もう8月の甲子園は全部球児のものにするくらいで日程を組まないと、あまり変わらない気がする。
・ ブラバンが「あまちゃん」使い過ぎ問題
いやまぁ良いんだけど。
決勝まで残ったことで延岡学園のあまちゃんがクローズアップされたが、全体的にかなりの数のチームで聞いた気がする。自分が見ていたチームがたまたまそうだっただけかな? 岩手代表の花巻に対する延岡の攻撃であまちゃんが使われている図がなんか面白かった。
あとは、ロッテの応援歌も多かった印象。阪神の「チャンス襲来」もよく聞いたかな。九州のチームはホークスにあやかろうぜ! ださいから嫌? ですよねー。
ちなみに個人的には前橋育英のグロッケンを前面に押し出した応援が新鮮だった(アウトカウントに応じて?テンポが速くなるのも良いね)。あまちゃんばかり言われるけど、個人的には延岡のブラバンの魅力はチューバ?の伴奏だと思う。あと、一番ブラバンが上手かったのは愛工大名電だった気がしたんだけど、いかんせん初戦で負けてしまったので何とも。
ということで、今年の高校野球についての一連の感想はとりあえずこれでおしまい。もちろん、世界大会についてとかはまた書くかもしれませんが。読んで下さった方々、本当にありがとうございました。また来春も予想記事書いたりすると思うので、覚えていたら観に来て下さるとうれしい限りです。
8/29追記:世界大会をCS朝日で放送するらしいのできっと感想記事書くと思います。飯田君がまた見れるなんて感激だし、松井君も見たい(松井-森バッテリーとか胸熱過ぎる)。もう全試合観戦したい勢い。
<2013夏甲子園記事まとめ>
試合予想(7日目第2試合まで)/1日目/2~3日目/4日目/5~6日目&2回戦予想
7~9日目/3回戦予想(+妄想)/準々決勝予想/10~11日目/12日目/準決勝予想
13日目&決勝予想/14日目&大会まとめ/
オマケ1……組合せ制度変更とかマスコミの予想について
オマケ2……上の続き
オマケ3……花巻東問題
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・ 東北の優勝の行方は問題
正直、今夏こそは出ると思っていた。東北勢初優勝校。初戦を6校中5校突破するという勢いと、下馬評の強豪校が次々と消えていく事態に。結局ベスト4に2校が残ったまでだったが、ある意味昨夏までの光星3季連続準優勝よりも、東北勢が優勝に近付いた大会だったのではないかとすら思う(光星の場合は、日大三や大阪桐蔭という大本命がしっかり残っていたので)。しかし決勝目前で花巻東は変なアヤが付き対策してきた延岡に点差以上の完敗を喫し、日大山形もまだ余力のある高橋の前に散った(準決勝で両者がバラけて、決勝で当たっていたら山形にかなり分があったように思う)。花巻東は仮に今年優勝しても色々言われただろうからともかくとして、日大山形はもったいなかった。山形県勢では近年稀に見る好チームだったのではと思う。もっとも90年以上もじらしたのだから、どうせなら東北勢初優勝は、松坂とか藤浪のような怪物を擁したチームにドラマチックに決めて欲しいという思いがあったので、ちょっと安心したかもしれない。
東北勢初優勝はもう時間の問題だと思う。その一番手は、今年は出られなかったが八戸学院光星か、前回散々色々言った花巻東かというところか。以下各県ごとに私見を述べると、
【青森】 ここずっと県外出身者を集めた光星か青森山田かという感じだった青森県において、漁夫の利的な勝ちあがりでなく両校をしっかり破って出てきた聖愛の存在は非常に面白い。ここが一発屋で終わらず(去年も負けたとはいえ決勝で光星に惜敗しているので大丈夫だと思うが)県内の第三勢力になれれば、青森県勢はがぜん面白くなる。聖愛には是非とも、花巻東のような(ダーティ分は除く)チームを目指して欲しい。そうすれば、光星(と山田)にとっても良い刺激になると思う。
【岩手】 花巻東の良さは、毎年派手さはなくとも隙のないチームを作り上げてくる点。何か突出したものを持っているチームは一見優勝しそうに感じるが、1つボタンをかけ違えるとなかなか修正できないもろさがある(今年の大阪桐蔭や日大三などが良い例だ)。その点花巻東のようなチームは、突破力こそ感じられないものの好不調の波も少なく、それが近年の安定した実績につながっていると思う。そして土台がしっかりしているので、菊池のような核ができれば一気に頂上を狙えるチームになる(大谷の時はアレだったが……)。
それだけに今回のことは残念。もちろんああいったことは多かれ少なかれいろんなチームがやっているのではと思うけれど、あのように全国区に知らされてしまったのは……。青森2強が県外出身者の多さからどうしても……となってしまうなか、ここは世間も味方にできるチームだったのに。今後優勝するためには、まずはイメージのクリーン化が先決かも。
また、県内に全国区の強豪校のライバルがいる光星と違って、花巻の場合ライバルこそ盛岡大附、一関学院、専大北上と頭数はいるのだが、どこも甲子園での成績は悲惨なものである。これらのチームが奮起してこそ、花巻東ももっと力強いチームになるのでは。
【宮城】 毎回出るたびに高い評価を得ながら、どうにも上にいけない仙台育英。全国的な活躍は青森の2強や花巻東よりずっと先のはずだが、完全に追い抜かれてしまった感じがする。毎回好選手を擁してくると言う点ではそれらに引けを取らないにもかかわらず、ここは何だか知らないが妙な脆さがある。選手よりも監督ら指導者の問題かもしれない。
【福島】 仙台育英と同じことは聖光学院にも言える。しかしここの場合は、県内のライバル不在のせいで土壇場での勝負強さに欠き、それがあと一歩先に進めない要因なのではという気がする(まぁ仙台も最近は東北が不調で何ともというところだが)。県内公式戦92連勝は凄いが、聖光の強さ以上に他の不甲斐なさを感じてしまう。というか最後に負かしたのは逆にどこなのか気になる。駒苫の香田元監督曰く、東北勢の初優勝は花巻東かこことのことだが、優勝というところまでいくと両校には大きな開きがあるように思う(ところで、香田元監督の挙げたのはこの2校+光星だという話もあるが、このコメントの出典がどこだかわからないのでどれが正しいのか確認できない。正確なところを知ってる人がいたら教えてくれると嬉しいです)。
【山形】 今年の日大山形のような好チームが今後もコンスタントに出てきてくれればというところ。まずは1校でも全国で勝てるチームがいて、それに他が追いつこうとすることで県勢としてレベルアップして欲しい(福島みたいになってしまう可能性もあるが……)。
【秋田】 が、頑張って!(でも今年の日大山形の活躍は、秋田県勢にも奮起を促しそう)
・ 桜井問題
ここの教育方針もちょっとだけ話題になった。人様の方針だからどうこう言う筋合いでもないし、選手が納得しているのならそれでいいのだが……(それにサイン盗みとかするチームよりよっぽどマシだし)。
もちろん礼節は大事だが、野球は武道では無い。エラーによる出塁や得点で喜ばないと言うのはまぁ分かるのとしても(もちろんそこでガッツポーズしたりするのも、チームを鼓舞することにもなるし否定はしない)、ホームランを打ったときくらいは喜んでも良い気がするのだが。それが相手を尊重していないことにはならないだろうし……どうにもモヤモヤしてしまう。
・ 安楽問題
今年は2年生に注目選手(投手)が多かった。その中心が優勝投手たる育英の高橋光成であり、あるいは浦学・小島や明徳・岸なども来年また是非戻ってきて欲しい存在だろう。
そんななか、今大会の元祖注目の2年生エースだったはずの安楽だが、早々に敗れてしまった。その要因は直球にこだわり過ぎたせいだろう。もはや150キロ超級の直球でも、それ一本でどうにかなる時代ではないのだ。
ネットではそんな安楽を批判する声も聞こえるが、個人的には安楽のスタイルは今はそれで良いのだとも思う
。直球頼みの投球スタイルからの転換は、自分で納得してからで良いというか、そうでなければ意味がない。そのタイミングは新チームで本格的に動き始めてからかもしれないし、あるいはプロに入って(故障さえなければ指名されるだろう)からかもしれない。別に甲子園で快刀乱麻のピッチングを披露し済美を優勝させることだけが彼の至上命題では無いのだから、本人が納得できるまで直球にこだわって良いし、それだけの価値のある直球だと思う。
ただし投げ過ぎの問題に関しては早急に二番手の養成が必要だ。来年も今年のようなチームカラーならば、上甲監督は無能の烙印から逃れられないだろう。
8/29追記:この記事を見るに、そんな状態であれだけの球を投げていたという衝撃の一方で、なおのこと安楽以外の投手の養成が上甲監督の命題であることを再確認。また、投球スタイルは自分の納得したタイミングで代えれば良いとは書いたものの、真面目というか馬鹿正直すぎる気がするので力を抜くことを覚えた方がいいのでは、とは思う。18Uでチームメイトとなる高橋光成の、三振を取る投球と打たせて取る投球を調子や状況に応じて使い分けるピッチングからヒントを得て欲しいものだが……。いずれにせよ、こんな才能の持ち主を甲子園のために潰すことは許されないと、上甲監督は肝に銘じるべきだ。
・ 球数&連投制限問題
安楽つながりで。連投や球数規制に関する私の見解は、センバツ終了時に述べたのでそちらを参照して欲しいのだが、要約すれば消極的賛成派というか、高野連が「ピッチャーを守るために制限を設けます」と言ったら、それは全くの正論で所詮外から観賞するだけの立場からすれば何も反論できないという感じである。
球数制限賛成派に対する、誰もがプロを目指しているわけではないというような、一部の才能に恵まれた層にそうでない人々を付き合わせるなという主旨の反論は一見正しいように見える。しかしそうした意見は、大多数の凡人の存在に目を向けているようでいて、その実大学や社会人野球(あるいは草野球でも良いが)止まりの才能なら野球を続けても意味がないということにもなり、結局プロレベルの才能ではない層を切り捨てているのではないかと思うのだ。たとえレベルは違っても、そこで野球することには間違いなく意味があるはずだ。
ということで、球数制限論に対して自分は有効な反論ができない。しかし、そうは言っても……という気持ちはもちろんある。先日散髪中にたまたま読んでいたNumberに桑田さんのコメントが載っていて、「ゆくゆくはWBCくらいの制限が設けられるべき」というようなことを言っていたのだけれど、そこまで言われると正直何だかなぁというところなのだ。
球数制限問題の話になるといつも思い出すのが、、「野球は1人ではできないが、その1人の前に敗れるのもまた野球なのだ」(うろ覚えだけどだいたいあってる筈)という言葉だ(たしか水島新司の「大甲子園」の文庫版に載っていた言葉だと思うのだけれど、手元にないので分からない)。
これは、野球の魅力の一端を表した言葉だと思う。
野球はルール上、他のプレーヤーに比べて明らかにピッチャーの負担が大きいスポーツである。もしかしたら近代野球の成立の過程で、例えば「1試合につきピッチャーは100球まで」というような、その負担を軽減するようなルールが整備される可能性もあったかもしれない。そうしたら、もはや今の野球とは全く違ったスポーツになっていたはずだ。それこそ花巻東の千葉君のような技術がバッターには最も求められるものになり、いかにエース級のピッチャーを早めに降板させるかが試合の重要なポイントなっただろう。また、それではどちらが早く相手の投手を全員登板不可にするかを競うスポーツになってしまうからと、2ストライクからのファールもストライク判定になったかもしれないし、試合のイニングも5回くらいまでになったかもしれない。
しかし、実際はそうはならなかった。その結果生じているピッチャーへの過剰な負担が前提という形態は、スポーツとしては大きな欠陥なのかもしれないが、それが野球の本質でもあるのではないか。若い才能を守るため、球数制限を設けるべきという主張はもちろん正論なのだが、一方で野球がその前提としてピッチャーへの多大な負担を強いるスポーツである、という側面を無視してはいけないようにも思うのだ。WBCが始まる前、球数制限の導入に日本は「野球というスポーツの本質にそぐわない」と反対したというが、これは正しいと思う。
桑田さんは制限を設ければ指導者が控え投手を育てる必要に迫られ、結果的に野球全体のレベルも向上するみたいなことも言っていた。それも正論ではあるけれど、結局はPLという超強豪校出身者だから言えることなんじゃないかとも思ってしまう。「お前と心中する、なんて言う指導者はいますが、実際に責任を取ってくれるような指導者なんていません」ってまぁそれはそうなんだろうが……。
まぁとりあえず現状は日程緩和しかないのかな、とは思う。今大会高野連は珍しく決断した方だと思うが、まだまだ足りない。もう8月の甲子園は全部球児のものにするくらいで日程を組まないと、あまり変わらない気がする。
・ ブラバンが「あまちゃん」使い過ぎ問題
いやまぁ良いんだけど。
決勝まで残ったことで延岡学園のあまちゃんがクローズアップされたが、全体的にかなりの数のチームで聞いた気がする。自分が見ていたチームがたまたまそうだっただけかな? 岩手代表の花巻に対する延岡の攻撃であまちゃんが使われている図がなんか面白かった。
あとは、ロッテの応援歌も多かった印象。阪神の「チャンス襲来」もよく聞いたかな。九州のチームはホークスにあやかろうぜ! ださいから嫌? ですよねー。
ちなみに個人的には前橋育英のグロッケンを前面に押し出した応援が新鮮だった(アウトカウントに応じて?テンポが速くなるのも良いね)。あまちゃんばかり言われるけど、個人的には延岡のブラバンの魅力はチューバ?の伴奏だと思う。あと、一番ブラバンが上手かったのは愛工大名電だった気がしたんだけど、いかんせん初戦で負けてしまったので何とも。
ということで、今年の高校野球についての一連の感想はとりあえずこれでおしまい。もちろん、世界大会についてとかはまた書くかもしれませんが。読んで下さった方々、本当にありがとうございました。また来春も予想記事書いたりすると思うので、覚えていたら観に来て下さるとうれしい限りです。
8/29追記:世界大会をCS朝日で放送するらしいのできっと感想記事書くと思います。飯田君がまた見れるなんて感激だし、松井君も見たい(松井-森バッテリーとか胸熱過ぎる)。もう全試合観戦したい勢い。
<2013夏甲子園記事まとめ>
試合予想(7日目第2試合まで)/1日目/2~3日目/4日目/5~6日目&2回戦予想
7~9日目/3回戦予想(+妄想)/準々決勝予想/10~11日目/12日目/準決勝予想
13日目&決勝予想/14日目&大会まとめ/
オマケ1……組合せ制度変更とかマスコミの予想について
オマケ2……上の続き
オマケ3……花巻東問題
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