2016年夏の高校野球、第13日(準決勝)の予想答え合わせと、決勝の勝敗予想です。

作新学院10-2明徳義塾
北海-3秀岳館
 
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第13日


作新学院10-2明徳義塾……当たり
 
 作新学院の、考え得るなかでも最高に近い理想の展開。中盤までで大差がつき、5回で今井を降ろす余裕が出た。さらに、宇賀神、入江の救援陣も甲子園のマウンドを経験させることもできた。特に入江は、ここまで登板させてこなかったのが勿体ないようなピッチャーだった。

 明徳義塾は、今井の攻略にはかなり自信があったようだが、中野が崩れそれどころではなくなった。先制点に繋がったものを含め、エラーが4個も出たのも、守備力を常に標榜してきたチームとしては痛恨だっただろう。
 初回の攻防が全てと言えなくもないゲームで、2点の先制を許した直後の1回裏、満塁機に1年生五番の谷合が併殺に倒れたのも痛かった。守りでもミスを喫し、本人としては悔いが残るところだろう。ただ、できるだけ3年生を優先する馬淵監督が、唯一メンバー入りさせた1年生。かなり光るものを見出されているはず。かつての岸もそうだった。
 低迷感のあった明徳を、くじ運もあったとはいえここまで持ってきたこともあり、この1年生が3年生になる2年後の夏、すなわち第100回記念大会。甲子園史にあらゆる意味で名を刻んできた名将が再び宙を舞う……そんなストーリーを妄想してみたくもなる。

 ……と思っていたら、こんな記事。

明徳義塾「今井君の球種は100%分かっていた」 

 「春は絶対優勝します。面白い投手がおりますから。まあ見とってください。負けるたびに明徳は強くなるんです」。
 馬淵監督はこう言い残して甲子園を去った。

 秋季大会以降も、高校野球ファンは馬淵・明徳から目を離せない。


北海-3秀岳館……ハズレ
 
 まっさらの状態でも普通にやれば、5回やって4回は秀岳館が勝つだろうし、ましてや投手陣の疲労なども加味したこの場面での対戦ならば、10回やって9回は秀岳館が勝っただろう。
 それがこの土壇場で……。準決勝ということも考えると、嘉手納vs前橋育英以上の、今大会最大の番狂わせではないだろうか?

 1回、いきなり無死一三塁のチャンスを作るも、盗塁死、暴投による本塁突入で憤死、そしてレフトのダイビングキャッチで3アウト。その裏、秀岳館の先発・川端は明らかに調子が悪く、いきなりのピンチ。嫌な流れではあった。
 しかし川端はそこを切り抜けると、2回のピンチも凌ぐ。一方の北海・大西は、1回こそ幸運な形でピンチを切り抜けたとはいえ、疲労は明らか。まあ普通に秀岳館が勝つだろうと思っていたが。

 3回に3点先制され、秀岳館は相当焦ったんだろう。監督も選手も、正直この試合は普通に勝てると思っていたはず。油断とまでは言わなくても、決勝に既に気持ちが傾いていたのでは。
 継投も遅れた。2回までのあの投球を見れば、潤沢な投手陣が揃う秀岳館。どうせ代えるなら引っ張らずスッパリ諦めて、3回頭から中井で良かった。これも、序盤こそ無得点に終わったものの、それなりに点は取れると踏んでいたゆえでは。

 中盤はほとんど見ていないのだが、初回と終盤の投球を見るに、大西は疲労からか、球がすっぽ抜けるなど思ったところに制球で来ているようではなく、落ち着いて攻めれば秀岳館打線なら攻略できたはず。終盤の攻撃を見ても、焦りを感じる場面がよく見られた。さらに守備でもミスが出るなど、全体的に浮足立っていた。
 北海からすれば、先行して相手の焦りを誘い逃げ切るという、いかにも格上を撃破する上で最高の展開。「初回がすべて」との鍛治舎監督の言の通り、初回に1点でも入っていれば、気持ち的にもその後の展開は大きく変わっただろう。
 
 しかし甲子園で優勝するようなチームと言うのは、自分たちの想定した展開から外れ、予想外の劣勢に陥っても、慌てず騒がず、落ち着いて逆境を跳ね返せるもの。同じ夏の準決勝なら、10年の興南とか。
 秀岳館には技術はあっても、そうした強靭さが足りなかったということか。

 どんなに高い技術力を持っていても、精神状態が乱れれば発揮できない。特に、プロよりも社会人、社会人よりも大学……と、ステージが下がるにつれて、メンタルの占める割合は大きくなるだろう。
 ましてや、大観衆が詰めかけ、全国のお茶の間からもテレビ越しに注視されている、甲子園というのはやはり異常な空間。それが高校野球の難しさでもあろう。

 鍛治舎監督は、社会人野球だけでなく、ボーイズリーグでも指導した経験があるが、まだまだ心身ともに未成熟な子供を、こんな異常空間で平常通りプレーさせるということの難しさは、これまでの指導経験には無いものだったのではないかと思う。
 世代トップクラスのチームに所属していた教え子を引き連れて監督に就任し、「3年で全国制覇」を掲げた鍛治舎監督。しかし甲子園優勝は、やはりそう簡単にはいかない。


第14日


作新学院-北海……作新学院
 死力を尽くして格上を撃破した北海と、理想的な試合運びで余裕をもって快勝した作新学院。その差は大きい。連投の今井の調子が、大会序盤に比べると……という懸念はあるのだが、それでもなお作新優位と思う。大西の疲労も相当だろうし。

 北海が序盤に先行して焦りを誘うような展開は、準決勝の秀学館を見た後なら期待薄。少々の差なら、これも織込み済みと動じないだろう。まして作新が先行するようなら、久々に大差の決勝を見ることになるかもしれない。

 23歳の若さで監督に就任し、栃木が県としても低迷していたなか、甲子園から遠ざかっていた母校を復活させ、全国区の強豪に押し上げた小針監督。その野球がここで結実するか。


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【勝敗予想結果】    
31勝16敗  
 1回戦:14勝3敗    
 2回戦(初戦):6勝1敗  
 2回戦(2戦目):6勝3敗 
 3回戦:3勝5敗 
 準々決勝;1勝3敗 
 準決勝・決勝:1勝1敗

【優勝校予想】    
◎履正社……3回戦敗退○○●    
○花咲徳栄……3回戦敗退○○●    
▲山梨学院大付……2回戦敗退○●    


【2016年・夏の甲子園記事まとめ】
地方大会もろもろ    
初戦勝敗予想( )/優勝校予想     
第1日第2日第3日/   第4日第5日/   
第6日(&2回戦予想①)第7日2回戦予想②/  
第8日第9日3回戦予想/   第10日①第10日②/ 
第11日準々決勝予想第12日①第12日②/ 
準決勝予想第13日(&決勝予想)/ 


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