日本11-6キューバ

 序盤はお互いの好守の光る好ゲーム。 中盤はワンサイドゲーム。そして終盤はお互いに締まらない乱打戦……と、一粒で3度楽しめるというか、一袋の中にレモン味のビーンズもあれば鼻くそ味のビーンズもあるみたいな試合でしたが、まあ勝ったんで良かったんじゃないですかね。

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 初回に先頭打者が出た直後、松田が(強めのゴロだったとはいえ)エラーをかましてピンチを広げたときは、どうなることかと思いましたが、菊池のファインプレーによる併殺もあって無失点。

 その後も日本は青木、そしてキューバはセンターのサントスの再三のスーパープレーもあって、序盤は緊迫した展開になりました。
 キューバはサントス以外にも、同点に追いついた直後の3回裏には、ファーストやサードもヒット性の当たりを好守でアウトにするといった場面も見られ、全盛期から比べると相次ぐ亡命などで戦力は低下したと言っても、やはり身体能力やポテンシャルの高さを感じました。
 でもやっぱり、サントスが一番すごかった。サントスがいなかったら、序盤からワンサイドだったんじゃないでしょうか。


 そんな接戦ムードを変えたのは松田でした。
 1点リードの5回、壮行試合では特に苦しんでいた坂本の適時打で点差を広げると、鈴木が四球を選んで一二塁という場面で、イエラの真ん中に入ってくるカーブを完璧に捉える3ラン。
 その直前に、コースこそ良いところに決まっていたとはいえ、同じボールを空振りしていたため、解説席の誰かが、1球目はわざと空振りしたのではと言いたくなるようなバッティング、というようなことを言っていました。
 でも、松田はあんな感じですよ。第1打席、第2打席のヒットのように、外角球を打つのは上手いんだけど、そこからストンと落とされると、途端にクルクル回る。それが松田。つまり初球の空振りは間違いなく素です(笑)

 それはともかく、松田の一発の後も、さらに1点を追加して7-1とし、一気に試合の主導権を握りました。いや、握ったかに見えました。

 投手陣を見ていても、先発の石川が4回を1失点の好投で纏めると、続いて登板した則本も、テンポよく5回、6回を3人ずつで締める素晴らしいピッチング。
 松田の一発の後のキューバの守備には、点差がついて集中力が切れてしまったように見えるプレーもあって、こうなるとラテンアメリカ勢はダメダメ。あとは味気ないワンサイドゲームかなあと思ったのですが……。


 7回以降は、私は所要があって中継をほとんど見れていないのですが、なんだか訳の分からんスコアになってしまいましたね。
 まず則本が7回、デスパイネの1発を機に突然崩れ、3失点で3点差に詰め寄られます。その7回は岡田のワンポイントで切り抜けたものの、その後は両チームがマシンガン継投で、しかもお互いに出てくる投手出てくる投手打たれるというひどい乱打戦に。

 則本の継投のタイミングが遅いとか、プレミア12の時を例に出して小久保采配を批判する向きもありますが、どうなんですかね(というか継投については、権藤翁も同じくらい叩かないと割に合わないと思うのだけど、まあそれが監督の宿命か)。

 点差やイニングの違いはもちろんとして、球数や連投に制限があるWBCの初戦と、そういった制限のないプレミア12の準決勝という状況の違いもあるのだから、さすがにそれを同列に並べるのは乱暴だと思いますが。
 6回まであれだけ良かったのだし、球数だって6回終了時点でたったの21球しか投げていないのだし。デスパイネの1発でもなおも5点差と言うことを思うと、アービレイスのタイムリーが出るまでは、なかなか代えられないんじゃないかなあ。

 逆に言うと、そうした制限の多い大会だということを考えたとき、岡田以降のマシンガンな継投には疑問が残ります。1イニングだろうが1/3イニングだろうが、1試合登板したことに変わりは無いわけで。
 まあ、中国には勝てると計算した場合、2勝すればほぼ確実に2次ラウンドはいけるということで、キューバ戦を多少無理してでも取りに行ったということなのかもしれませんが。


 そういうわけで、石川以外の投手陣に不安を残した日本代表ですが、逆に壮行試合でイマイチ奮わなかった野手陣は活発でした。14安打で11得点。
 キューバ投手陣は全体的に軟投派が多く、かつボールが先行するあまり制球の定まらない投手が多かったので、どちらかというと球を見ていく傾向にある(と思う)の日本打線にとっては、組し易い相手だったというのもあったのではないでしょうか。
 たぶん日本が苦手なのは、テンポよくストライクゾーンに投げ込んでくるタイプの投手かと(ボールを動かすタイプなら尚更)。様子を見ようとしているうちに、あれよあれよという間に追い込まれて、難しい球を打たされる……みたいな感じ。

 筒香の活躍はさすがの一言として、不振だった坂本に当たりが出てきたのが大きい。また中田も、かなり当たりが良くなっているように見えました。ノーヒットとはいえ、相手の好守で1本損していたものもあったし。

 そしてこの試合は何よりも松田。上述の1発を含め、4安打4打点の大当たり。
 最後まで田中とどちらを起用するか迷ったという話でしたが(私は先日の記事にも書いた通り田中派でした。松田ごめん)、結果的に松田を選んだ起用が当たったかたちになりました。
 また、3盗塁と足をからめた攻撃が出来ていたのも好印象。
 継投面では批判に晒されている小久保ですが、こうした攻撃面の起用に、采配ポイントを全部持ってかれたんじゃないですかね(笑)



 キューバ戦を取ったことで、2次ラウンド進出はほぼ確実と見て良いんじゃないでしょうか。
 上にも書いた通り、2勝すればほぼ進出は確定(前回大会の韓国は、2勝1敗ながら得失点率で進出を逃したけど)で、さすがに中国には負けないだろうし。と言いつつ、前回大会は、相手先発を打ちあぐねて苦戦していた記憶もありますが。オーストラリアはよくわからん。

 A組から上がってくるのは、おそらくオランダとイスラエル。オランダは普通に強いとして、日本が準決勝に進めるかどうかのカギは、イスラエル戦にかかってくるのではないでしょうか。 


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