3回戦の勝敗予想答え合わせ、第11日編のその1です(長くなったので分けました)。



【第11日】

済美7-12盛岡大付……当たり
 1点を追う9回に、植田が高めのボール球を強引にスタンドに運んで同点に追いついたとはいえ、その後のチャンスに勝ち越せなかったこともあり、依然済美有利だと思っていた。
 たしかに植田の1発は、起死回生の一打だった。満塁弾返しで追いつかれた後は、済美ペースだっただけに。

 というのも終盤の盛岡大付は、同点の7回に、1死一三塁から、前の打席で満塁弾を放っている小林にスクイズを命じて失敗するしょっぱい野球。
 そしてその直後に、前の回の済美打線をテンポよく抑えた2番手・三浦瑞樹が、宇都宮に勝ち越しのソロを被弾してしまう。
 さらに8回には、被弾したとはいえそれ以外は完璧だった三浦瑞樹に代走を出す勝負の采配も、結局実らず終わる。

 そんな嫌なムードを、植田が一掃したかに見えた。

 しかし冷静に考えると、9回裏以降は後攻有利。
 しかも盛岡は、三浦を代えてしまったことで、既に5回までで108球を投げていた荒れ球の平松を再びマウンドに送っていた。実際再登板した8回には、2個の四球を出している。

 対する済美のマウンドには、8回途中からマウンドに登ったエースの八塚。余力があるのは八塚の方のはずだ。

 それに、9回の植田の後続の打線は、一応チャンスは作ったものの、なんか雑にビュンビュンバットを振って、バンバン三振に倒れていく。なまじ劇的なかたちで追いついたことで、選手たちが浮ついてしまっていたようにも見えた。

 そういうわけで、これは盛岡大付の方が厳しいぞ、と。

 それがニュース明けの10回表に、いきなり林が適時打を放って勝ち越し、さらに植田によるトドメの3ランなどもあって5得点。
 不安視していた平松は、9回、10回はテンポ良く3人ずつで抑え、見事勝利したのだった。


 それにしても、これぞ夏!と言いたくなるような、ド派手な試合でした。
 盛岡の強打は想定通りとはいえ、済美の打力がここまで復活するとは。とても秋に明徳義塾に10-2で負けたチームとは思えない。この打力なら、普通に明徳義塾にも打ち勝てるでしょ。
 
 なお、盛岡大付の優勝を予想する身としては、いかに強打の済美相手とはいえ、7失点を喫したことを心配するべきなのかもしれないけれど、実は打たれたヒットは三浦と平松で合わせて6本だけ。
 思ったよりは抑えられているので、ひとまず安心した。特に三浦が2イニングのみとはいえかなり安定していたのが好材料。


前橋育英10-4花咲徳栄……ハズレ
 思いのほか大差がついてしまった。
 先発・丸山という起用に関しては、昨今流行りのエースを温存してパターンと言いたいところだが、結局皆川も打たれてるので仕方ない。

 それより、花咲徳栄の強さを見誤ったのは悔しい。広陵のように全く見てないところなら諦めもつくけど、埼玉大会決勝をテレビで見ていただけに……。
 例えば花咲打線のボール球の見極め力についても、3連続押し出し四球で3点先制するなど、県決勝の浦和学院戦でも発揮されていた。
 ただ、あの時は浦学・佐野の制球が悪過ぎたので、かえって過小評価してしまった。

 初回にいきなり4点の先制パンチ。その裏、さらに2回と前橋が1点ずつ追い上げてきたかと思ったところで、花咲徳栄が1点、2点と挙げて7ー2。これで見る気をなくしてしまい、あとは視聴もおざなりになってしまった。

 なのであまり書くこともないのだけど、お互いに結構守備のミスが多かった印象。凡事徹底はどうした。


 ところで、手首骨折の影響で痛みが残るなか、前橋育英の四番・飯島が強行出場し、山本一郎が疑問を呈すなど、一部で物議を醸した問題。

 それを受けてなのか、この試合の飯島の打席のときにアナウンサーが、選手生命に響くような怪我ではなく、医師ともちゃんと相談したうえでの出場である、と説明していた。
 あるいはNHKに抗議の電話でもきたんだろうか(だとしたら御門違いも良いところだが)。

 出場するかどうかは当事者の問題だと思うが、美談にすべきではないという点には同意。
 ただそれなら、強行出場した選手をどう報じるべきなのか、という問題もある。少し間違えれば、出場した選手を責めるような報道になりかねず、結構デリケートな問題では。

 そして例によって広尾晃さんが、山本一郎に便乗しているのが腹立たしい(笑) というか野球のライターなら山本一郎より先に指摘しろよと。さらに言えば、脱臼しているのに強行出場した明桜・山口の時に言えよと(言ってたらごめん)。
 この記事にしても、言ってることは大筋間違ってないと思うけど、「私は高校野球の取材をたくさんしましたが」、とか言われても、嘘つけと思ってしまう。

 こういうのは、信用と実績の問題で。

 普段から高校野球の記事をメディア(個人ではなく)に寄稿しているようなライターなら、どこで誰に聞いたのか明示せずに、取材でこんな話を聞いたとか書いても、そうなのかな、と受け入れられるんですよ。普段から色々な人に取材してるんだな、っていうのが分かるから。

 でも広尾さんは普段、大して高校野球の記事(取材に基づいたもの)を寄稿してないじゃないですか。昨年の「ナビ部」にあった木更津総合の五島監督や早川へのインタビュー記事は、状況証拠的に、広尾さんが関わってたんじゃないかと思うけど、それくらいじゃないの?
 そういう人が、取材で云々言っても、そんなに言うほど取材してるの?と信用できないわけです。

 あと、

怪我や故障を押して練習、試合をした挙句、高校や大学の途中で野球を断念した子供は本当にたくさんいます。
彼らの多くは甲子園に出ていないし、名前も知られることなく消えていきました。育英でも間違いなくそういう子がいます。一学年で20人ほどいる学校なら5人くらいはそうではないでしょうか。

 この数字はどうやって算出したんですかね……。


聖光学院4-広陵……当たり
 中村の存在感が凄い。

 守ってはワンバウンドのボールでも盗塁を刺し、8回には無死一塁からの相手の送りバントを迷わず二塁に送り、見事併殺に仕留めた。
 特に後者のプレーは大きかった。
 広陵は同点に追いついたものの、その後のチャンスで一気に勝ち越すことは出来ず、7回、8回は三者凡退。特に8回には聖光のセカンドの軽快な好守も出ており、その直後に先頭打者が四球。
 再び聖光のペースになりつつあるところだったのを、中村のあのプレーで一気に打ち消してしまった。

 遡って広陵が追いついた6回の攻撃にしても、簡単に2死となってから連打で無死一、二塁。
 そして次打者は何でもないピッチャーゴロに倒れたと思いきや、これをピッチャーがエラーし満塁で中村にまわしてしまい、2点適時打を打たれてしまう。
 あのエラーを見て、センバツの明徳義塾と早実の試合を思い出した。あれは勝利まであと1人というところで、やはりピッチャーゴロをエラーして清宮にまわしてしまったのだった(清宮は四球だったが)。
 どちらのエラーも、次の打者にまわしたくないというプレッシャーが影響したものだろう。
 今大会の中村は、それだけの存在感がある。

 そして極め付けは、9回の勝ち越し2ラン。解説の大谷正成さんの言った「千両役者」という表現がまさに相応しい。
 今大会、中村のための甲子園になりつつある気すらしてくる。

 投手陣も、平元1人のチームかと思っていたら、2番手の山本も安定しており、優勝するチームの条件を満たしている。

 特待生問題に揺れて私学に逆風が吹くなか、ヒールの役割を背負わされ、佐賀北のがばい旋風に呑まれたあの決勝から10年。
 今年の広陵はもしかしたらもしかするのか?
 優勝予想に広陵を入れていない身としては恐れ半分、今年の広陵に惹かれつつある身としては期待半分で見ている今日この頃である。




【勝敗予想結果】
30勝11敗 
 1回戦:14勝3敗
 2回戦(初戦):6勝1敗
 2回戦(2戦目):7勝2敗
 3回戦:3勝5敗

【優勝予想】
◎中京大中京……1回戦敗退●
○盛岡大付……ベスト8○○○
▲神戸国際大付……3回戦敗退○●


【ベスト8予想】
A:神戸国際大付……3回戦敗退○● (正解:天理)
B:二松学舎大付……3回戦敗退○●(正解:三本松)     
C:神村学園……3回戦敗退○●(正解:明豊)
D:高岡商……2回戦敗退● (正解:東海大菅生)
E:盛岡大付……ベスト8○○○                 
F:前橋育英……3回戦敗退○○●(正解:花咲徳栄)                 
G:中京大中京……1回戦敗退●(正解:広陵)
H:大阪桐蔭……3回戦敗退○○●(正解:仙台育英)




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