「INGRESS THE ANIMATION」の8話から最終回を見た雑感。というかシリーズ全体を通したまとめの感想。

 結論から言うとつまらなかったです。

 とにかく、主人公をはじめ登場人物たちの内面がに掘り下げ不足。一部を除き、過去を描くようなこともない。敵味方含め主要人物たちはだいたいが異能力者で、それゆえに幼少期から疎外されていたらしいことが仄めかされるのだけど、仄めかすだけで描き込むことはしない。

 で、ただただ状況が続くだけ。それも決して目新しいものがあるわけでもない。
 もっとも、前半部の感想でも書いたように、ブロンド美少女のヒロインがさらわれたのを助けに行く、というド王道な物語なので、見れちゃうといえば見れちゃうんですが。

 ただ、ラストにしても、人類を精神体にして肉体から解放することで平和な世界を作るみたいな黒幕の野望とか、人間は争いをやめられないと失望している黒幕を、主人公サイドが世界中の人々の力を借りて打ち破るとか、最後はヒロインの自己犠牲で勝利するも、ヒロインは概念になっちゃう(?)とか、既視感の連続。

 まあ面白ければ別にそれでも良いのですが、上述の通りキャラクターの掘り下げがないので、ドラマチックな状況が起こってもまったくドラマ性が出てこないという……。

 映像面にこだわるのも良いけれど(それだって別に、凄いかと言われるとビミョーなんだが)、やはりアニメに大事なのはストーリーなのだと改めて。
 極端な話、シナリオが良ければ紙芝居だって面白いわけで(まあ止め絵の方が、それで画面をもたせようと考えると難しいのだ、というようなことを新房昭之が語っていたが)。


「高品質で世界基準のアニメーション作品を、日本をはじめとした世界にも向けて届けていきたい」と鼻息荒く始まったフジテレビの新しい深夜アニメ放送枠「+Ultra」。
 しかしその記念すべき第1作であるこの『INGRESS THE ANIMATION』は、良い意味ではもちろん、ネタ的な意味でも面白さもなく、自分以外に見ている人いるんだろうか?という気すらしてくる空気アニメになってしまいました。

 果たして来年から始まる『revisions』はどうなるでしょうか。谷口悟朗最新作のロボットものということで、少なくとも事前の注目度はイングレスよりは高くなりそうですが。

 オリジナルアニメ3作で消滅したテレ東「アニメノチカラ」枠みたくならないと良いですね。




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